2017年 01月 27日
イタリア旅行記最終回 〜ロンダニーニのピエタ〜 |
振り返ると、この旅行は3ヶ月も前のお話。
ミケランジェロは生涯4つのピエタ作品(全て彫刻)を手がけています。
これだけ時間が経過してしまうと、ぼやける部分もありますが、
鮮明に心に刻まれた部分が逆によく自覚できます。
旅行中、たくさんの芸術作品に触れることができましたが、
私が一番印象深かった作品は、まぎれもなくコレ。
ミケランジェロ作「ロンダニーニのピエタ」でした。
ピエタとは、もとは慈愛という意味の言葉ですが、
十字架から降ろされたイエス・キリストを抱きかかえるマリアがモチーフとなった作品の事も指す。
いろんな芸術家がピエタ作品を残しています。
ミケランジェロは生涯4つのピエタ作品(全て彫刻)を手がけています。
1つ目は「サン・ピエトロ寺院のピエタ」(以前の記事にアップしています)
2つ目は「ドゥオーモのピエタ」(フィレンツェのドゥオーモ博物館所蔵)
3つ目は「パレストリーナのピエタ」(現在パレストリーナではなくフィレンツェのアカデミア美術館所蔵)
4つ目がこの写真の↑「ロンダニーニのピエタ」。(以前はローマのロンダニーニ邸の中庭にあったそうですが、現在ミラノのスフォルツェスコ城博物館にあります)
完成品は1つ目の「サン・ピエトロ寺院のピエタ」のみで、その他の3つは未完成。
ミケランジェロが死の直前まで手を加えていたというこの4つ目の作品に、
私はどういうわけか圧倒的なsomethingを感じたのでした。
上半身のアップ(マリアが後ろからイエスキリストを抱きかかえています)
警備の方ががっちり監視しています・・・
これほどの作品なのに、この部屋には警備の方以外我々しかいませんでした。
いや、確実に背負ってると思う!
未完成であることを嘆いたり、完成品に思いを馳せることなく、
この作品をありのまま感じるのがよいでしょう。
素晴らしい芸術家たちが意気揚々と活躍していた時代の作品には勢いがあって、
それはそれで素晴らしい。
そんな彼らが晩年に残す作品には、衰えこそ感じられると言われることもありましょうが、
それとは別に、深み、重みが加わっているようです。
そういえば、ベートーヴェンの後期のソナタはそれほど有名じゃないけれど、深み、重みが半端ない。
このピエタ作品は、
常に欲と二人連れのさもしい私に対して真顔で、
「人間とは、生きるとは、いったい何?」と問いかけてくるような・・・
そんな、心揺さぶる作品だったのでした。じ〜ん。
by kenken22m
| 2017-01-27 12:59
| イタリア